
よろしくお願いします。まずは鳥潟さんのご経歴を教えてください。

18歳から仕事を始めて、さまざまな職種を経験してきたので順を追って話しますね。

最初は父の勧めで金型メーカーに就職したのですが、もう少しものづくり寄りの仕事がしたいと思い、2年後に父の知り合いのつてで建築業界に入りました。そこでは修行という感じで店舗系の仕事を中心に幅広く経験を積みました。

その後、別の知り合いに声をかけてもらってクロス屋として働くことになり、また経験を積んで2年後に独立しました。独立してからは、今までの経験を活かして賃貸物件の管理や施工、クリーニング、クロスなどなんでも手がけました。

紆余曲折あってその後工務店に就職して会社員となりましたが、2024年6月に独立して鳥潟工務店を立ち上げました。全体を通して見ると、人との縁でここまでの仕事に繋がってきたなと感じます。

さまざまな方とのご縁があって今に至るのですね。元々お知り合いが多かったのでしょうか?

いえ、その時々で新たな知り合いができて、次の仕事を紹介してもらって今に至ります。建築業界では現場で知り合った方や案件で繋がった方との横の繋がりが強く、一度一緒に仕事をして、気に入ってもらえたら次の現場も呼んでもらえるということが多々あるんですよ。

なので、仕事自体が変わるときも、新しい案件をもらえるときも基本的にそういった横の繋がりで紹介してもらうことがほとんどでした。

なるほど。ちなみに建築業界に興味を持ったきっかけはありますか?

建築業界に入るぞという気持ちや決意が小さい頃からあったというよりは、本当に人との繋がりでここまで来た感じです。

ただ、幼少期からレゴやプラモデルが好きで、何もないところから自分で形を作ることに興味があったので続けられたのかもしれないです。保育園のときに秘密基地を作る遊びはよくやると思うのですが、木の上に板を並べて、ちょっとしたウッドデッキがある大きなツリーハウスを作ったこともありました。大きくて形があるものを作るのが好きでしたね。

ものづくりが元々お好きだったんですね。そうすると、職人を続けていこうと思ったのもそれが理由なのでしょうか?

そうですね、やっぱりものづくりが好きという思いが理由ですね。建築業界に入るまでは仕事の種類や内容をまったく知らなかったので、業界に入って初めてこんなにたくさんの職業があるんだと気づきました。

最初にやってみた仕事がとても楽しかったので、何度か転機はありましたが職種を変えようとは思わなかったですね。また、いろんな仕事のレベルアップができるのも理由の1つです。

お若いときから修行をされていますが、修行時代につらかったこと、楽しかったことを教えてください。

つらかったことは睡眠時間が少なかったことです。平均4時間くらいでした。現場の時間も長いし、準備や通勤時間であっという間に時間がなくなって……眠いとは思いつつ、現場では危険を伴う作業もあるので1つの工事が終わるまでは気を張っていて、意外としんどくなることはなかったのですが、工事がひと段落すると体調を崩すことが多かったです。

楽しかったことは、新しいことを覚えたり、技術が身に着いた実感を得られたことです。技術や知識が自分のものになるのが嬉しかったですね。

これまでで一番勉強になったなと思うエピソードはありますか?

特定のエピソードはあまりないですが、たくさんの職人さんに出会えて、一緒に仕事ができたのはとても勉強になりました。同じ作業を行うにしても、人によってやり方が違うことを直接見て学べたのは貴重な経験でしたね。向いているやり方は人それぞれだと気づけたので、複数の方法を学んで、自分がやりやすい方法を模索していこうと思いました。

複数の職種をご経験されて、これからは工務店として独立しようと思った決め手はありますか?

会社員として働くのは仕事を覚えたり修行をするためで、実績を積んだら独立しようと最初から思っていたので大きな転機があったわけではないです。ものづくりに関わる多くの職人さんは、経験を積むと自分でやっていきたいという思いが強くなるものだと思います。

独立すると自分で仕事を選べるようになるので、業務内容はもちろん自分が本当に一緒に仕事したいと思った人と関係を構築していけるのが自分にとっては大きなメリットですね。また、給与面も会社員のときとは大きく違ってくるので、それも独立の理由の1つです。

経験を積まれる中で多くのお客様と接してきたと思いますが、トレンドや流行り廃りがあるのか気になります。

お客様の要望に応えていくことをモットーにしているので、トレンドは追っていないです。ただ、壁掛けテレビの下地をきれいに作ってほしいという要望は最近多いですね。配線を見えなくするための工夫など、きれいに作るには意外と工程が多いんですよ。

お客様の要望に応えていきたいという思いが強いのですね。今までの傾向として、どんな要望が多かったのでしょうか?

ファミリータイプの住宅を手がけることが多く、特にアイランドキッチンを作りたいという方が多いです。また、建築系のテレビ番組の影響を受けてリクエストされるお客様もそこそこいます。

ご家族がいると使いやすさが重視されますよね。逆に、これは特殊だなと思った案件はありますか?

お客様からのリクエストで、普通の本棚に毛足の長い布を貼り、オリジナルの豪華な本棚を作った案件ですね。本棚の寸法に合わせて布を裁断して、仕上がりがきれいに見えるように全部マスキングした後、布を重ねて貼る際に合わせ目に糊が付かないよう細心の注意を払って作業しました。

結果的に、原型を留めないほど豪華な仕上がりになったと思います。普段は大工の仕事が多いので家具を手がけることもあまりなかったですし、しかも普通の本棚をアップグレードするという経験はこれから先もあまりないんじゃないかと思います。

少し脱線しますが、鳥潟さんもご家族がいらっしゃいますよね。お仕事が忙しい印象がありますが、お休みの日は何をされていますか?

だいたい日曜が休みなのですが、現場によっては1か月休みなしなど工期に左右されます。子どもが3人いるので一緒に遊びに行くこともありますが、1人でいられるときはだいたい寝ているかテレビを見ていますね。

ありがとうございます。独立に際して、ご自身の強みや得意なことを教えてください。

建築の範囲ならなんでもできることです。さまざまな職種を経験したからというのもありますし、知りたいことや興味の範囲が広いので電気や設備に関しても習得しており、対応範囲が広いのが強みです。

なんでもできるというのはかなりの強みですね。今後の展望や目指す姿をお聞きしたいです。

とにかくお客様の要望に1つ1つ真摯に応えていきたいです。いいものを多くの人に作り、届けることが使命だと思っています。作ったもののクオリティを褒められるのはもちろんのこと、「いい職人」と言われるようになりたいですね。

誠実で真面目なお人柄なので、既に「いい職人」と呼ばれているのではないかなと感じました。本日はありがとうございました。
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